【 Chapter-0<一つの結果・R> 】
?月?日 ?時?分 ???? そこは月明かりの届かない、暗い通り。 「ま、待ってくれ! 殺さないでくっガァッ!?」 ガンッ。 頭蓋骨とコンクリートって相性抜群ですね。よく響きます。 あ、頭から血が出ちゃいましたね。強く打ちすぎました。反省。 「ん、何か言いましたか? お願いですから、ちゃんと聴こえるように喋ってください」 ウソです。本当はなんて言ってるか聴こえてますけど、質問に答えちゃったら痛めつけてる意味が無くなっちゃいます。 「いきなり斬りかかってくるから驚きましたよ。とりあえず一度落ち着きましょう。せっかく再会したんですから、……ねぇ?」 「ふざけんな! テメェどうして生きて――」 「どうでした? ビクリと、彼が震えた。顔は蒼白に近い。 そんなに怯えなくてもいいのにな……。でも、無理もありませんね。 「そうそう、……結果でしたね。結果的に貴方は役目を果たしてくれました。宝までの地図を正確に描いてくれましたから」 「意味不明な表現してんじゃねぇよ! もっと具体的に言いやがれ! なんで俺に力を与えた!?」 はい、無視。現代風に言うと、シカトでしたっけ。 「おめでとうございます。これで貴方の役目は終わりです。留置所に戻るか、闇の世界で生活していくか選んでください。あ、もちろんそのナイフは返してもらいますよ? それはこっちの世界の物なので」 「質問に答えろってんだろうがぁぁァァアアアアアアアアアアアアアアアッ!」 あ、怒った。ちょっと煽りすぎましたかね。すでに人格支配の兆候も見られますし、……ここまでか。 彼はナイフを振り上げて走ってきました。 「……やれやれ、しかたがありませんね。それじゃあ」 僕は、動かない。ただ、本業の口調で告げる。 「死ねよクズ」 ドンッ、と。僕の腕が彼の腹を貫いた。あはは、すごい見開いちゃってるよ。自分が死ぬってようやく理解したのかな。……それとも。まさか、まさかだけど。 「もしかして、自分が強いとでも思ってました?」 ずりゅ、っと。腕を引っこ抜いた瞬間、血の噴水が沸いた。あぁ、この服気に入ってたのに、血と臭いが染み付きましたよ。髪にも飛び散って、……なかなか落ちないんですけどねこれ。 綿をぶちまけたボロ人形のように地面に崩れた彼は動かない。壊れたポンプは血を吐き出し続ける。 わぁ、壁真っ赤。ちょっとやりすぎたでしょうか? ……まぁゴミの始末は警察がやってくれるから気にしないでいいですね。 彼の手からナイフを取ろうとして――しっかり握ったまま死んだのでナイフを放してくれない彼の手に腹が立って切断したらまた血で服が汚れたし。もう嫌。 ナイフをタオルで包んで、僕はその場を後にする。 そして、どうせなら彼が生きてたときに言いたかった言葉を呟く。 「僕、強くなったでしょう? 誰にも負けませんよ」 死人に口なし。だけど僕には、まだ口も足もある。 それでは、主に命じられた通りに宝探しでもしますか。 地図は既に手の内ですから。 |